『当事者は嘘をつく』小松原織香

『当事者は嘘をつく』小松原織香

レイプ被害の当事者であり国際政治、特に修復的司法の研究者でもある著者が自分の体験とそれ以降の精神のさまよいを書いたエッセイ。論文ではない。全編を通じて「これは本心なのだろうか」との疑問が離れなかった。その意味でタイトルがあらかじめすべてを語っているとしたらタイトルは秀逸である。しかし「この本は出版しなければならなかったものなのだろうか。他者がこの本を読む意味はあるのだろうか」との疑問も生じた。