『さらば、わが愛/覇王別姫』
近所の名画座でレスリー・チャン没後20年特集ということで行ってきた。いつか観なくちゃと思っていたが大満足。
主人公は京劇の女形。北京、清朝末期、劇団のつらい少年時代から物語が始まり、スターダムにのし上がる絶頂期へ。そしてパートナーの結婚という波乱があり、日本軍との交渉、それが国民党軍支配下では問題となり裁判へ。それから文革という転落。
京劇に人生を捧げた役者の半生は中国近代史の波乱そのものであった。
光と影の雪降る市街、舞台の地明かり、身も蓋もない明るさの公開裁判などのスタイリッシュな映像。子どもたちの顔、舞台上のレスリー、隈取のクローズアップと所作。すべてのカットが素晴らしい。こんなに良かったとは思わなかった。
しかし、当時最高の役者で最高のセットで最高の予算で作ったであろう作品は最高であることを義務付けられている。そこに息苦しさを感じた。陳凱歌はこれ以降パッとしなかったなあとも思った。