『身ぶりとしての抵抗 —鶴見俊輔コレクション2』鶴見俊輔
鶴見と言えばべ平連の活動や「思想の科学」で有名な哲学者。本書は彼と関わりの深い黒川創が編集したエッセイコレクションである。
エッセイの領域はアナーキズム研究、らい病患者との関わり、安保闘争の時期のデモ参加や座り込み活動について、ベトナム戦争当時の脱走兵の支援活動、韓国文学とキムジハとの関わり、そして田中正造伝などと幅広い。活動する哲学者・思想家らしい幅広さ。
しかしその言葉は決して難解ではない。私はこの本を旅行中にあちこちで読んだものだが没頭するのに時間がかかったことがない。人間との関わりの中で深められる思想、そして言葉はこうあるべきと思った。
一方、現在、哲学を語るものにどのくらいの行動の裏付けがあるのだろうかと暗澹とする。