映画一覧

NO IMAGE

映画『主戦場』

「従軍慰安婦問題に決着をつける」というキャッチコピーながら、やっていることは相変わらずの「両論併記」。しかもこうした映画を見にくる人がよろこびそうな方向に傾斜しつつという映画。 土曜日の夕方の回はほぼ満席。灯りがつくと自然発生的な拍手が湧いたが、それでよけいにがっかりした。見たい映像を見せてくれてありがとうという拍手は、映画の作り手としてうれしいものなのだろうか。 このテーマが両サイドから繰り返し取り上げ...

映画「ニッポン国 VS 泉南石綿村」

大阪府泉南市住民によるアスベスト訴訟の8年間を追ったドキュメンタリー。メイシネマ祭’19で鑑賞。あのホールの3分の1くらい埋まってたからだいたい100人くらい集まっていたか。 しかし3時間半は長い。原告が多いのでひとりひとりにじっくり話を聴くと長くなってしまうのは仕方ないが、それでも最高裁判決まで出た訴訟なのだから「ここがポイント」という編集をしてほしかった。 それにしても驚いたのは原監督自らが原告に対し...

NO IMAGE

映画『わすれな草』

アルツハイマー病の母、そして彼女を支える父の姿を映像作家である息子のカメラがとらえた数年間。これが小説でなく、劇映画でなく、ドキュメンタリー映画になったことをまずは祝福したい。 そしてこれは介護についての映画ではない。「運動」と「活動」の時代を生きた女と男の、その後の長い人生についての映画である。それを終わり近くの数年間をとらえることで描こうとするものである。 このふたりは「自由恋愛」や「...

NO IMAGE

映画『残穢【ざんえ】−住んではいけない部屋−』

映画『残穢【ざんえ】−住んではいけない部屋−』 本来ホラーではないのでとってつけたエンディングはムダ。地味な竹内結子と橋本愛ちゃんを鑑賞するための映画。 それにしても炭鉱事故の被害者が炭鉱主を恨んでという因果はよくみかける。 その度に膨大な兵士を南洋やビルマで無駄な死に追いやり、シベリアに送り込んだ旧軍高級参謀がなぜ呪われないのだろう、なぜのうのうとした余生を送ったのだろうと思う。 (Source...

NO IMAGE

映画「SHARING」

映画「SHARING」 久しぶりに誰かの解釈や解説がちっとも意味を持たないという素晴らしい映画に出会った。 これは誰かの評判を聞いて見に行くものではなく、誰かの批評を聞いて納得するものでもない。自分で納得するまで考えて判断しなくてはならない映画。5年前に起きて、まだ継続していあの事件のように。だから、これは現代の日本社会が本当に必要とする物語だ。 物語としてはホラー風味の心理劇と言えるかもしれない。...

NO IMAGE

映画「さとにきたらええやん」

映画「さとにきたらええやん」 大阪、釜ヶ崎にある「こどもの里」という児童施設を舞台にしたドキュメンタリー映画。 この施設は「(大人でも子どもでも)誰でも利用できます」「子どもたちの遊び場です」「利用料はいりません」とあって、補助金や寄付金だけで運営をしているとしたらすごい。 映画は監督が自分で撮影し、インタビューの聞き手もしているらしい。本人の姿こそ画面に映らないが映画全編に制作者の影が濃い。監督が...

NO IMAGE

映画「逃げ遅れる人々」

映画「逃げ遅れる人々」 千葉市で行われたドキュメンタリー映画「逃げ遅れる人々」の上映会と、その監督と障がい当事者とのトークイベントに行ってきた。 映画は311のときの障がい者の状況をインタビューしたもの。障がい者を支援するため、全国の当事者団体によっていち早く設置された「東北関東大震災障害者救援本部」の依頼で制作された。 障がい者と避難所については衝撃的な発言がいくつもあった。 子ども...

NO IMAGE

映画「首相官邸の前で」

映画「首相官邸の前で」 2011年から広がった脱原発デモの当事者にあたったドキュメンタリー映画。大作「1968」で全共闘運動の時代をとらえた小熊英二による初監督作品。 しかし、ドキュメンタリー映画としてはかなり一面的で、広がりに欠けるものだった。映画は脱原発デモのオルガナイザーたちの活動と、デモの映像が中心なのだが、そこには周辺からの視点がない。デモにはそれを遠巻きに眺めている視線があるはずなのだが、この...

NO IMAGE

映画『遺言』原発さえなければ@武蔵大学

映画『遺言』原発さえなければ@武蔵大学 日曜日の武蔵大学・江古田キャンパスでの自主上映会。大きめの教室だったが意外と来場者が少ない。むしろ関係者の姿が目立っていた。 映画は飯舘村で畜産農家を営む数家族の、被災から3年間の密着ドキュメンタリー。原発からやや離れていたため放射能汚染について詳しく知らされずに過ごした1ヶ月間。乳牛を手放し仮設住宅に移ってからの1年間。畜産農家仲間の自死。そして、パイロット牧場の...

NO IMAGE

映画「日本と原発」

映画「日本と原発」 全国の原発関連訴訟に関わる弁護士たちによる、脱原発ドキュメンタリー映画。 おおむねすべての原発問題のトピックスを網羅しており、しかもそれらをきわめて手際よく解説している。この映画を何回か見て、手元に資料があれば、すべての推進派の議論を論破できるのではないか。 その意味でこの映画は、これからの脱原発を考える上では必見の作品。原発映画のスタンダードの位置を得たと思う。 ただ、映...

NO IMAGE

映画「原発の町を追われて」

映画「原発の町を追われて」 結局「脱原発」にしても「被災者へ適切な支援がされていない」にしても、主張がまずあって、それを伝えるために映像をつくるというドキュメンタリー映画はつまらない。それが「フタバから遠く離れて」だった。 それに対して、まず被災者と知り合いになり、会話を交わすようになり、その流れでカメラを回すようになる。それで、できた映像からある主張が浮かび上がってくる。そして、その主張は個人と社会とい...

NO IMAGE

映画「花の億土へ」

映画「花の億土へ」江古田のギャラリー古藤で、石牟礼道子の声を拾ったドキュメンタリー映画「花の億土へ」見てきた。ここはいつ行っても元気なオバちゃんたちが、きっちりといい仕事してる。しかし、映画は感心しなかった。石牟礼道子のインタビュー映像に八代湾の美しい映像を重ね、さらに監督自ら作曲のインストゥルメンタルを流すという構成が2時間近く。退屈である。これをドキュメンタリーと呼ぶ必要があるのか。むしろ石牟礼の言葉をきとんと伝...

NO IMAGE

映画「フタバから遠く離れて(第2部)」

映画「フタバから遠く離れて(第2部)」 昨日は東京ドイツ文化センターでドキュメンタリー映画「フタバから遠く離れて」の自主上映会。参加者はほぼドイツ人。監督への質疑で彼らが何を言うのか興味があったが、質問したのはほぼ日本人だった。意外と反応薄い。 映画は双葉町の避難民を埼玉県加須市と仮設住宅に追い、町長の声を拾いといったオーソドックスなルポ。甲状腺障害が疑われるウシのショッキングな映像をはさみつつ、かわいそ...

NO IMAGE

映画「わたしたちに許された特別な時間の終わり」

映画「わたしたちに許された特別な時間の終わり」 才能がありながらも認められないミュージシャンが自死に至るというありふれた出来事である。撮りためたビデオを一本の映画に完結させるために取ってつけたようなフィクション部分である。それでもこの映画には見てよかった、見るべきものを見たと感じさせてくれるものがある。 それは未来がどうなろうと、映画とか音楽とか表現することにこだわり続け、作品を完結させようとする、あらゆ...

NO IMAGE

映画「プロメテウス」

映画「プロメテウス」 見たことのない映画、人間や社会への違う捉え方、テクノロジーのもうひとつの方向性。「エイリアン」「ブレード・ランナー」「ブラック・レイン」のリドリー・スコット監督にはそんなことを期待していたのだが、全くなかった。ダサいテクノロジーを使った、よくいる人間が出てくる、どこかで見たことのある映画だった。 物語のつじつまが合わないとか、伏線が回収されていないとかはどうでもいいが、映像にも時間に...

NO IMAGE

映画「聴こえてる、ふりをしただけ」

映画「聴こえてる、ふりをしただけ」 母を亡くした小5のサチ。しっかりしているように見えるが、大人の何気ない一言、例えば「お母さんはいつでもあなたのそばにいるよ」という言葉に惑わされる。正気をなくしていく父にも揺らぐ。そうした困った日常から、サチが自分を取り戻していくまでの物語。 ドラマや映画や小説でよくあるステレオタイプではなく、しっかりしていたり、不安定だったり、知識豊富だったり無知だったりする、小五女...

NO IMAGE

映画「隣る人」

映画「隣る人」 埼玉県の児童養護施設で、理由があって実の親と暮らせない子どもたちとその施設の保育士の8年間を追いかけたドキュメンタリー映画。 上映後、監督が挨拶で「この映画を児童養護施設についての状況や課題をあらわすものにするのを途中で辞めた。人と人のふれあいについての映画にすることにした」と言っていた。 そのままに、これは単にある環境にいる子どもたちと、その環境に寄り添う大人たちの関わりについての...

NO IMAGE

映画「アトモスフィア」

映画「アトモスフィア」 インディーズながら完成度の高い映画だった。もっとぶっ壊れたところがあってもいいのに、と思うくらい達者だった。最近の若い監督はソツがないと思ったら、監督の佐々木友輔はすでにいくつもの賞をとっている中堅だった。 流産してから夢を見て眠れない妻とその夫の会話。妻のバイトであるテープ起こしの言葉。それらがやがて明らかにしていく夫婦の関係、この街の状態、この国のありさま。 それらの言葉...

NO IMAGE

映画「ニーチェの馬」

映画「ニーチェの馬」 最初にニーチェと馬のエピソードが語られるので、あの馬はそれだとの解釈は勝手にすればいい。出てくるのはおそらく中欧、の貧しい農家に暮らす片腕の不自由な老人と中年にさしかかったその娘。この物語はその小さな世界の日常を通じて描かれる世界の終わり。ケレン味たっぷりで、出来のわるい映画だった。 思い出すのはこのふたりの食事のシーンばかり。夕食はゆでたじゃがいものみ。それを手づかみで皮をむいてそ...

NO IMAGE

映画「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」

映画「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」 グラフィティアーティストのバンクシーによる映画。バンクシーの作品が中心になるのかと思いきや、ミスター・ブレインウォッシュというアーティストについてのドキュメンタリーだった。 このミスター・ブレインウォッシュが、あれよあれよという間にLAのアートシーンで注目されていく様子も面白いし、それにバンクシーさえもが翻弄されているのが笑える。 彼はアートに何の関わ...