書籍一覧

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「魂の脱植民地化とは何か」深尾葉子

「魂の脱植民地化とは何か」深尾葉子 さいきん集中的に読んでいる安冨歩の参加している叢書「魂の脱植民地化」の最初の一冊。 さまざまな「魂の植民地化」のケースを、ゼミ学生のレポートや「ハウルの動く城」、福島からの自主避難者の声などをケースとして取り上げている。「蓋」と「自己」そして「憑依」がそれを理解するためのキーワードである。 しかし、もっとも興味深いのは深尾本人の人生を取り上げているということ。 ...

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「合理的な神秘主義―生きるための思想史」安冨歩

「合理的な神秘主義―生きるための思想史」安冨歩 そもそも人は「何が正しいことなのか」を知り得ぬものだとしたら、どうして我々は生きていけるのか。本書は思想家としての安冨がこうした問いの答えを求めて古今東西の知と思想を遍歴したものである。 孔子、仏陀からスピノザ、マルクス、フロイト、ウィーナー、ミルグラムと古今東西の思想家を取り上げているが、彼らはいずれも一貫して「正しく生きるための知識」を求めている者である...

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「あなたが生きづらいのは「自己嫌悪」のせいである。 他人に支配されず、自由に生きる技術」安冨歩

「あなたが生きづらいのは「自己嫌悪」のせいである。 他人に支配されず、自由に生きる技術」安冨歩 一見よくある自己啓発本であり、実際に自己啓発が本書の目的でもあるが、人類や社会への洞察の深さから凡百とは一線を画する書である。 安冨が本年の参院選挙運動でマイケル・ジャクソンのヒール・ザ・ワールドをバックに「子どもを守りましょう」と繰り返すのはなぜなのか、本書を読んで納得がいった気がする。 私が最も興味深...

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「誰が星の王子さまを殺したのか――モラル・ハラスメントの罠」安冨歩

「誰が星の王子さまを殺したのか――モラル・ハラスメントの罠」安冨歩 この有名な児童書は、作者(サン・テクジュペリ)本人も意識することなくモラルハラスメントを描いた傑作であるとしている。極めて興味深い解釈である。 「星の王子さま」は複雑な構造であるが、印象的な登場人物やセリフが散りばめられている。ともすれば雰囲気だけで心温まる物語のように感じる人が多い。 しかし本書によると、これはある日、王子さまの星...

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「創造された「故郷」: ケーニヒスベルクからカリーニングラードへ」ユーリー コスチャショーフ

バルト海に面したロシアの飛び地「カーリニングラード」。その歴史と建国の経緯を描いた研究書。この土地の歴史は13世紀のドイツ騎士団による建国から始まるのだが、ソ連の統治からその過去がタブーになり語られることがなかった。しかし、本書ではロシアにとってこの土地が最も身近な西欧としていかに魅力的であったかが繰り返し語られる。 近年の経緯については、軍政による略奪と破壊から、文民統治時代における過去の書き直し(地名の変更...

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「障害者の傷、介助者の痛み」渡邉琢

「介助者たちは、どう生きていくのか」の渡邉による、津久井やまゆり園事件以降の評論集。前作と同様、障害者介助の現場からの考察は実際的かつ奥深い。 重度障害者の生活といえば自宅監置か施設かという一般の見方に対し、地域での自立こそが当事者にとって最善、との考えは一貫している。その点から相模原障害者殺傷事件については「なぜ障害者はその施設にいたのか」「そこに行くことになった理由は何なのか」という点から問いかけを始めるの...

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「草薙の剣」橋本治

それぞれ関わりのない6家族の祖父、父、子どもを、戦前から現代にかけて同時平行に描いた近現代史的小説。という説明から想像できるようにとても退屈。四分の一くらい読んだところでそれが分かり、後はただひたすら終わらせるためだけに読んだ。あげく勝手に若者に希望をほのめかして終わり。投げ出したくなった。 これらは橋本が思うサンプル家族であって、世の中はもっと多様である。それが分かっているから小説読みは、ある一人の人生につい...

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「介助者たちは、どう生きていくのか―障害者の地域自立生活と介助という営み」渡邉琢

今年の参院選でふたりの重度障害者が国会議員になるという画期的なことがあった。選挙戦からその姿を見ており、また初登院の様子などを映像で見ていたのだが、ふと舩後議員と木村議員に寄り添う介助者について気になった。あるときは手足となり、あるときは声となっている介助者たち。それでこの本を読んでみた。 本書は障害者介護の実際と介護(ホームヘルプ)制度について実務者の立場から手際よく説明しており、現在の障害者介護・福祉を概観...

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「象徴天皇の旅: 平成に築かれた国民との絆」井上亮

本書は30年間にわたって皇室担当記者を勤めた著者による、平成天皇の旅の記録である。その旅は全国で行われる植樹祭を始め、中国、フィリピンなどの外国訪問やパラオ、ペリリューなどかつての戦場も。もちろん被災地訪問、離島訪問など多岐にわたる。 著者はその旅に毎回同行し、その都度感じた天皇と一般とのふれあいのあり方、警護のあり方、皇室報道のあり方などを問題提起している。 問題は多々ありながらも、それにも増して感動的...

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「魂の殺人」アリス・ミラー

今年の参院選で注目していた「れいわ新選組」の論客、やすとみ歩のスピーチで聞いて読む気になった一冊。 本書は精神分析家であるミラーによる、主に大戦間の西欧における教育の罪の告発の書である。 本書の前半は近代から現代にかけて西欧の幼児教育を覆っている「闇教育」について豊富な引用をもとに論じている。いわく、子どもというものは3歳までに徹底的に親に服従するように「しつけ」なければならない。それが子どもがその後の厳...

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「裏声で歌へ君が代」丸谷才一

ふとしたことで台湾独立運動のリーダーと知り合った主人公梨田が、いつのまにか中台政治活動の裏面に巻き込まれていくというストーリー。中国と台湾の思惑が浮かび上がり、国際政治の黒幕が暗躍。そして主人公がたっぷりと国家論を語るという知的なエンタテインメント小説である。 しかし、高度成長に浮かれる現在に過去の戦争がぽっかりと暗い口を開けるという部分は「笹まくら」にも共通する。 主人公が現在起きていることで翻弄されて...

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「アンダークラス ―新たな下層階級の出現」橋本健二

本書は非正規労働者であり、かつ貧困状態にある「アンダークラス」についての評論である。 アンダークラスは現在、国内に930万人もおり、それは就業人口の15%にのぼるという。本書ではこのアンダークラスに限らずその予備軍としての失業者・無業者にも言及しているが、その状態はさらに悲惨なものである。 橋本は定量的データをもとに統計的分析に専念しており筆致は冷静だが、こうして社会に不満を持ち将来に希望を持てない層が国...

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「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」新井紀子

著者は国立情報学研究所の先生で「AIを東大に合格させよう」というプロジェクトのリーダー。本書はそのプロジェクトの研究成果から見えたAI開発の限界と、全国の小中学校・大学生25,000人を対象にした基礎読解力テスト(RTS)の衝撃的な結果についての評論。 AIといえどしょせんコンピュータは四則演算をするのであり、ものごとの意味を理解しているわけではないというのが本書前半の骨子。AIの得意とする分野は論理、確率、統...

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「我的日本 ー台湾作家が旅した日本」

台湾の作家、エッセイスト18人による、日本の旅をテーマとしたアンソロジー。台湾の人々が「観光地」として見た日本が描かれていて新鮮。昨年、2泊3日で台湾を旅して以来中国語に興味を持ち、中国語講座に通い始めたうちの奥さんに読ませたいエッセイが何編かあった。 桜の季節になると毎年日本に行きたい熱が高まるという「はい、私は桜の季節にお花見に行ったことがないんです(江鵝)」では、実際にこの季節に多くの台湾人が日本を訪れて...

「死民と日常 <私の水俣病闘争>」 渡辺京二

水俣病闘争において運動側の中心人物のひとりである渡辺による評論集。本編の焦眉は「水俣から訴えられたこと」という講演採録。本人によるあの活動の総括という位置付けは1990年の講演である。 ドキュメンタリー映画「水俣ー患者さんとその世界」にある蛸とりのシーンが暗示するように、患者を死病にかかった可哀想な病人としてではなく、まずは水俣の日常を生きる民である。そういう幅で捉えるべき、というのが彼の心...

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「六月の雪」乃南アサ

30代の日本人女性がふとしたことから祖母の生まれ育った台南へ行くことに。言葉はもちろん、台湾の歴史背景も知らない彼女が、現地で知り合った人々と祖母の足跡を探すうちに歴史の現実を知るという小説。 確かに日本の歴史教育では台湾領有、韓国併合、満州国建国などは通り一遍かまったく触れないだろう。しかし、ここまで何も知らないのが実際の30代かと思うとがっかりする。 台湾で美食三昧の観光もいいだろうが、実際に行って人...

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「父の果/未知の月日」吉屋信子

新聞書評で見つけて「いつか読む」としていた本だけど、こういうのにハズレはない。読んでよかった。 吉屋と言えば大正・昭和初期の人気少女小説作家で縁がないかなと思っていたのだけど、大戦期の戦争協力とその後の絶筆期を経て味のある大人の小説を書くようになっていた。 この本はそうした戦後の小説とエッセイによるアンソロジー。 お妾さんとして生きることを選んだ女と本妻の、戦争を経て生まれた友情を描いた「みおつくし...

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「紫の雲」M・P・シール

人類の滅亡後ひとり生き残った男を描いた19世紀の幻想小説。 人類滅亡の理由は古今東西の小説ではいろいろとあるのだが、この小説のように「本来人間が足を踏み入れてはいけない場所、北極点に行ったこと」というのは珍しい。地球がその報いとして紫の雲によって人類を滅ぼすことに決めたという。 科学と信仰がせめぎ合っていた時代が生み出した小説として読めば、生き残った男のその後の行いも味わい深い。 しかし最後には他者...

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「靖国神社」島田裕巳

明治から今日に至る靖国史には目新しいものはなかったが、安部政権が容認した集団的自衛権の行使により自衛隊員の戦死者が出る可能性を指摘したエピローグは興味深い。靖国はこうした新事態に対応できるのか。彼らも変わらざるを得ない。

『引揚げ文学論序説: 新たなポストコロニアルへ』朴裕河

『引揚げ文学論序説: 新たなポストコロニアルへ』朴裕河『引揚げ文学論序説: 新たなポストコロニアルへ』朴裕河 うちの叔母も上海からの引揚げで当時の贅沢な生活の話を聞いたことがある。この引き揚げによって650万人もの兵士と民間人が内地へ還ってきたという。その中には後年活躍する多くの作家がいた。いわく埴谷雄高、湯浅克衛、五味川純平、古山高麗雄などなど。しかし、この引き揚げ体験を中心テーマとした作品が意外と少なく、結果とし...