書籍一覧

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「草薙の剣」橋本治

それぞれ関わりのない6家族の祖父、父、子どもを、戦前から現代にかけて同時平行に描いた近現代史的小説。という説明から想像できるようにとても退屈。四分の一くらい読んだところでそれが分かり、後はただひたすら終わらせるためだけに読んだ。あげく勝手に若者に希望をほのめかして終わり。投げ出したくなった。 これらは橋本が思うサンプル家族であって、世の中はもっと多様である。それが分かっているから小説読みは、ある一人の人生につい...

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「介助者たちは、どう生きていくのか―障害者の地域自立生活と介助という営み」渡邉琢

今年の参院選でふたりの重度障害者が国会議員になるという画期的なことがあった。選挙戦からその姿を見ており、また初登院の様子などを映像で見ていたのだが、ふと舩後議員と木村議員に寄り添う介助者について気になった。あるときは手足となり、あるときは声となっている介助者たち。それでこの本を読んでみた。 本書は障害者介護の実際と介護(ホームヘルプ)制度について実務者の立場から手際よく説明しており、現在の障害者介護・福祉を概観...

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「象徴天皇の旅: 平成に築かれた国民との絆」井上亮

本書は30年間にわたって皇室担当記者を勤めた著者による、平成天皇の旅の記録である。その旅は全国で行われる植樹祭を始め、中国、フィリピンなどの外国訪問やパラオ、ペリリューなどかつての戦場も。もちろん被災地訪問、離島訪問など多岐にわたる。 著者はその旅に毎回同行し、その都度感じた天皇と一般とのふれあいのあり方、警護のあり方、皇室報道のあり方などを問題提起している。 問題は多々ありながらも、それにも増して感動的...

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「魂の殺人」アリス・ミラー

今年の参院選で注目していた「れいわ新選組」の論客、やすとみ歩のスピーチで聞いて読む気になった一冊。 本書は精神分析家であるミラーによる、主に大戦間の西欧における教育の罪の告発の書である。 本書の前半は近代から現代にかけて西欧の幼児教育を覆っている「闇教育」について豊富な引用をもとに論じている。いわく、子どもというものは3歳までに徹底的に親に服従するように「しつけ」なければならない。それが子どもがその後の厳...

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「裏声で歌へ君が代」丸谷才一

ふとしたことで台湾独立運動のリーダーと知り合った主人公梨田が、いつのまにか中台政治活動の裏面に巻き込まれていくというストーリー。中国と台湾の思惑が浮かび上がり、国際政治の黒幕が暗躍。そして主人公がたっぷりと国家論を語るという知的なエンタテインメント小説である。 しかし、高度成長に浮かれる現在に過去の戦争がぽっかりと暗い口を開けるという部分は「笹まくら」にも共通する。 主人公が現在起きていることで翻弄されて...

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「アンダークラス ―新たな下層階級の出現」橋本健二

本書は非正規労働者であり、かつ貧困状態にある「アンダークラス」についての評論である。 アンダークラスは現在、国内に930万人もおり、それは就業人口の15%にのぼるという。本書ではこのアンダークラスに限らずその予備軍としての失業者・無業者にも言及しているが、その状態はさらに悲惨なものである。 橋本は定量的データをもとに統計的分析に専念しており筆致は冷静だが、こうして社会に不満を持ち将来に希望を持てない層が国...

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「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」新井紀子

著者は国立情報学研究所の先生で「AIを東大に合格させよう」というプロジェクトのリーダー。本書はそのプロジェクトの研究成果から見えたAI開発の限界と、全国の小中学校・大学生25,000人を対象にした基礎読解力テスト(RTS)の衝撃的な結果についての評論。 AIといえどしょせんコンピュータは四則演算をするのであり、ものごとの意味を理解しているわけではないというのが本書前半の骨子。AIの得意とする分野は論理、確率、統...

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「我的日本 ー台湾作家が旅した日本」

台湾の作家、エッセイスト18人による、日本の旅をテーマとしたアンソロジー。台湾の人々が「観光地」として見た日本が描かれていて新鮮。昨年、2泊3日で台湾を旅して以来中国語に興味を持ち、中国語講座に通い始めたうちの奥さんに読ませたいエッセイが何編かあった。 桜の季節になると毎年日本に行きたい熱が高まるという「はい、私は桜の季節にお花見に行ったことがないんです(江鵝)」では、実際にこの季節に多くの台湾人が日本を訪れて...

「死民と日常 <私の水俣病闘争>」 渡辺京二

水俣病闘争において運動側の中心人物のひとりである渡辺による評論集。本編の焦眉は「水俣から訴えられたこと」という講演採録。本人によるあの活動の総括という位置付けは1990年の講演である。 ドキュメンタリー映画「水俣ー患者さんとその世界」にある蛸とりのシーンが暗示するように、患者を死病にかかった可哀想な病人としてではなく、まずは水俣の日常を生きる民である。そういう幅で捉えるべき、というのが彼の心...

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「六月の雪」乃南アサ

30代の日本人女性がふとしたことから祖母の生まれ育った台南へ行くことに。言葉はもちろん、台湾の歴史背景も知らない彼女が、現地で知り合った人々と祖母の足跡を探すうちに歴史の現実を知るという小説。 確かに日本の歴史教育では台湾領有、韓国併合、満州国建国などは通り一遍かまったく触れないだろう。しかし、ここまで何も知らないのが実際の30代かと思うとがっかりする。 台湾で美食三昧の観光もいいだろうが、実際に行って人...

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「父の果/未知の月日」吉屋信子

新聞書評で見つけて「いつか読む」としていた本だけど、こういうのにハズレはない。読んでよかった。 吉屋と言えば大正・昭和初期の人気少女小説作家で縁がないかなと思っていたのだけど、大戦期の戦争協力とその後の絶筆期を経て味のある大人の小説を書くようになっていた。 この本はそうした戦後の小説とエッセイによるアンソロジー。 お妾さんとして生きることを選んだ女と本妻の、戦争を経て生まれた友情を描いた「みおつくし...

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「紫の雲」M・P・シール

人類の滅亡後ひとり生き残った男を描いた19世紀の幻想小説。 人類滅亡の理由は古今東西の小説ではいろいろとあるのだが、この小説のように「本来人間が足を踏み入れてはいけない場所、北極点に行ったこと」というのは珍しい。地球がその報いとして紫の雲によって人類を滅ぼすことに決めたという。 科学と信仰がせめぎ合っていた時代が生み出した小説として読めば、生き残った男のその後の行いも味わい深い。 しかし最後には他者...

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「靖国神社」島田裕巳

明治から今日に至る靖国史には目新しいものはなかったが、安部政権が容認した集団的自衛権の行使により自衛隊員の戦死者が出る可能性を指摘したエピローグは興味深い。靖国はこうした新事態に対応できるのか。彼らも変わらざるを得ない。

『引揚げ文学論序説: 新たなポストコロニアルへ』朴裕河

『引揚げ文学論序説: 新たなポストコロニアルへ』朴裕河『引揚げ文学論序説: 新たなポストコロニアルへ』朴裕河 うちの叔母も上海からの引揚げで当時の贅沢な生活の話を聞いたことがある。この引き揚げによって650万人もの兵士と民間人が内地へ還ってきたという。その中には後年活躍する多くの作家がいた。いわく埴谷雄高、湯浅克衛、五味川純平、古山高麗雄などなど。しかし、この引き揚げ体験を中心テーマとした作品が意外と少なく、結果とし...

帝都東京を中国革命で歩く | 譚 璐美 |本 | 通販 | Amazon

帝都東京を中国革命で歩く | 譚 璐美 |本 | 通販 | Amazon「帝都東京を中国革命で歩く」譚璐美歴史を顧みればそもそも交流が深く、相互に尊敬しあっている日中。なのに近年の関係悪化は意図的であると同時に、一般国民の歴史への無知から生じていると思う。本書は明治後期から大正にかけて東京に留学した中国人たちの足跡を、早稲田、本郷、神田などの土地に沿って書いたエッセイである。そこには孫文、魯迅、蒋介石、周恩来などの有...

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日本会議の研究 (扶桑社新書) : 菅野 完 : 本 : Amazon

日本会議の研究 (扶桑社新書) : 菅野 完 : 本 : Amazon「日本会議の研究」菅野 完コピーは安倍政権を牛耳る秘密組織のような惹句ながら、実際は書名通り日本会議という団体についての調査研究書である。フリーメーソンやユダヤロビーのように闇から政治経済を操る怪しい組織でもない。70年代や80年代の右派学生運動を出発点として、生長の家を通じて継続・発展した団体が、今日では安倍政権のブレーンになったというだけの話。...

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ボランティアという病 (宝島社新書) : 丸山 千夏 : 本 : Amazon

ボランティアという病 (宝島社新書) : 丸山 千夏 : 本 : Amazon「ボランティアという病」丸山 千夏災害がある度に被災地に群がる評判のよくないボランティア団体のあれこれを追ったルポ。いずれもどこかで耳にした話なのだが、「社団法人つながり」「NPO法人ユナイテッドアース」「ふんばろう東日本」など実名を挙げて批判しているところが珍しい。アマゾンのほしいものリストを利用した詐欺疑惑、阿蘇復興1000人田植えなど...

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失われた兵士たち 戦争文学試論 (文春学藝ライブラリー) | 野呂 邦暢 | 本 | Amazon.co.jp

失われた兵士たち 戦争文学試論 (文春学藝ライブラリー) | 野呂 邦暢 | 本 | Amazon.co.jp「失われた兵士たち 戦争文学試論」野呂 邦暢終戦直後に多くの兵士・軍人たちが出版したものを戦記物という。野呂は一般書籍、自費出版、私家版など500冊あまりを収集し、これをあの戦争への考察の糧とした。「文学の域に高められていないという理由で軽んじられ話題にもならない書物の一群がある」昇華され文学としての純度が高...

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Amazon.co.jp: 放浪記 (新潮文庫): 林 芙美子: 本

Amazon.co.jp: 放浪記 (新潮文庫): 林 芙美子: 本放浪記(林芙美子)新潮社「貧乏な私だけど明るく元気に生きていました」という話ではない。この本から貧しくても明るくけなげに生きていた明治・大正の女性像を読み取る人は、実際の貧困や認められない表現者であるという体験をしたことがないのだろう。当方、失業中の中年アーティストなので、読み続けることが困難なくらい身につまされた。それでも目が離せない。一気に読みき...

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教科書名短篇 – 少年時代 (中公文庫) | 中央公論新社 | 本 | Amazon.co.jp

教科書名短篇 - 少年時代 (中公文庫) | 中央公論新社 | 本 | Amazon.co.jp教科書名短篇 - 少年時代 (中公文庫)中学の教科書にある近代の名作集。あらためて読んでみると、どれも味わい深い。日本の文学が厚みと深みをそなえていることを実証する一冊。こんな本を鑑賞としてよむといいなあ。問題として読むんじゃなくて。思えば、授業では触れなかったこういう文章を、ある時、先生がじっくりと朗読してくれたことがあ...