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「日本の教育はダメじゃない ―国際比較データで問いなおす」小松光・ジェルミー・ラプリー

「日本の教育はダメじゃない ―国際比較データで問いなおす」小松光・ジェルミー・ラプリー 本書はピザ、ティムズ、ピアックなど国際的な調査に基づいた日本の教育への提言である。「だから日本はダメだ」との見方にも、「だから日本はスゴイ」との主張にも与することなく、あくまでも科学的視点の提案に徹底している良書。 本書では巷間に流布する日本の公教育に関する悲観論をデータに基づいた国際比較からひとつひとつ否定していく。...

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「サハリン島」エドゥアルド・ヴェルキン

「サハリン島」エドゥアルド・ヴェルキン 核兵器と生物兵器によって破滅した世界で、日本だけは唯一の文明国として生き残っている時代。日本が接収した国境の地であり監獄の地でもあるサハリン島を未来学者の美少女とその護衛が旅するというポスト・アポカリプスSF。 ロシア人作家が日本社会を舞台にサハリン島を舞台にしたというだけが目新しい平凡なSF小説だった。 マッキントッシュのコートの下に二丁拳銃を隠し持つロシア...

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「ブルシット・ジョブ―クソどうでもいい仕事の理論」デヴィッド・グレーバー

「ブルシット・ジョブ―クソどうでもいい仕事の理論」デヴィッド・グレーバー 単なる個人の社会観の表明でエッセイに過ぎない。それにムダに長くて惹かれるところがない。このテーマならもっと面白く語るエッセイストやコラムニストはたくさんいるだろう。 これだけ路上で冷たくなっていく人々や現場に多忙死があふれる世の中で、この人には居心地のいいオフィスにいてヒマで死にそうな人々しか視野に入っていないのかと思うと戦慄する。...

Forever Young – Bob Dylan

Forever Young - Bob Dylan May God bless and keep you always May your wishes all come true May you always do for others And let others do for you 神さまの祝福がいつでもありますように すべての望みがいつか叶いますように いつでも人のために尽くし、人々が君...

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『ふだん使いの言語学ー「ことばの基礎力」を鍛えるヒント』川添愛

『ふだん使いの言語学ー「ことばの基礎力」を鍛えるヒント』川添愛 言語学、情報学の研究者による日本語の使い方指南。特に興味をひかれる内容ではなかった。良い日本語は論文、記事、小説、SNSなど多様なものを多く読み、多く話し、書くことによって自然と身につくものではないのか。 本書でいちばん納得したことは、言語学は言語のエキスパートではなく、正しい言葉遣いの専門家でもないということ。「自然現象としての言葉の仕組み...

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「英語独習法」今井むつみ

「英語独習法」今井むつみ 認知科学、言語心理学、発達心理学を専攻する研究者による実践的英語学習法。世の中によくあるノウハウ集や学習参考書とは違って人間の言語認知のしくみから効果的な第二言語の習得を提案する。 基本的な考え方は日本語と英語の「スキーマ」の違いを理解すること。そのためにコーパスや各種ツールを使ってひとつの言葉がどのような文脈で多く使われているのか、言い換えるとしたらどのような単語や熟語があるの...

『パターソン』Amazon prime

『パターソン』Amazon prime ジム・ジャームッシュ円熟の最新作。 詩人の街、ニュージャージー州パターソンで詩を書くバス運転手のパターソンをはじめ、悪い人がひとりも出てこない。みんないい人ばかり。 妻役のゴルシフテ・ファラハニがとてつもなく愛らしい。あと、ミステリートレイン以来の永瀬正敏も出てる。 作中の詩はロン・パジェットという詩人の作品。言葉がじっくりと表示されてこれも楽しめる。 ...

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「ディアスポラ」グレッグ・イーガン

「ディアスポラ」グレッグ・イーガン ハードSFが行き着くとこまで行ってしまった作品。情報としてネット上に存在する人類が宇宙創造の鍵となる存在を探して多元宇宙を旅するというストーリー。 もう、普通の人間は出てこない。生身の人間もDNA操作で現代人とは違うし、主要な登場人物は情報としての存在なので生き方も考え方も違う。彼らは通常は実時間の何倍ものスピードで生きており、必要な時のみ低速化して実時間を生きる。 ...

『Mank/マンク』Netflix

『Mank/マンク』Netflix 1940年代の脚本家ハーマン・マンキウィッツを主人公に、彼が「市民ケーン」の脚本に取り組んだ時期を描いた映画。デビッド・フィンチャー監督だから時間軸が行ったり来たり、感情表現も分かるような分からないような。ハリウッド黄金期の内幕ものでモノクロの画面が豪華。そういえばオールタイム・ベストと言われる「市民ケーン」をまだ見ていないことに気づいた。今度あらためて見てみよう。

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「万物理論」グレッグ・イーガン

「万物理論」グレッグ・イーガン 2055年の近未来。宇宙のすべてを説明するという万物理論が3つの候補に絞り込まれた。 科学ジャーナリストのアンドルーは、そのうちひとつの理論の提唱者であるヴァイオレットを取材するため太平洋上に浮かぶ独立国家「ステートレス」に乗り込むが、そこである科学カルトの暗闘に巻き込まれるというストーリー。 しかし、物語はそれだけにとどまらず、彼は「ステートレス」消滅を目論むバイオ...

映画『希望のかなた』Amazon Prime

映画『希望のかなた』Amazon Prime フィンランド・ヘルシンキへ流れ着いたシリア難民が、官僚的な制度によって強制帰国の危機に陥る。しかし現地市民の手助けによって生活の糧を得てゆく。そして離れ離れだった妹を救うという話。 出てくるのはいい人ばっかり。それがみんな社会制度や国を信用してなくて、信じているのは同じ人間同士であるという痛快で心温まる映画。 それにしてもストリートミュージシャンの音楽が...

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「順列都市」グレッグ イーガン

「順列都市」グレッグ イーガン 小説としてはちっとも良くないのだが、そのセンスオブワンダーは手の届かない高みにいるよう。読んでいて目眩がした。90年代ハードSFの真価を伝える傑作。 人間の肉体と精神がコピーされてサーバー内に存在できるようになった世界。そこまでならよくある設定であるが、この世界ではそのサーバー性能が入札によって変動する。 裕福なものは自前のスーパーコンピュータで現実の世界とリアルタイ...

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「宇宙消失」グレッグ イーガン

「宇宙消失」グレッグ イーガン 「時間軸」という今どきのラノベで消費される単なる「仕掛け」とは違い、量子宇宙論、ナノテクノロジー、大脳生理学を素材にハードSFの素晴らしさを堪能させてくれる傑作SF小説。 ある日冥王星の外側にすっぽり太陽系を覆う構造物ができてしまい、その他の宇宙から隔離されてしまった世界。閉ざされた部屋から壁抜けをしたという記録のある女が誘拐され、主人公のニックは調査員としてその女の捜査を...

映画『君の心に刻んだ名前』Netflix

映画『君の心に刻んだ名前』Netflix 戒厳令が解除された時期の台湾を舞台に高校生のゲイカップルの愛と苦悩の日々、そしてそれからの30年間の人生を描いた映画。 ゲイは今でこそBLというカテゴリーとして消費する素材だが、80年代の息苦しい時代背景ではカミングアウトは生きるか死ぬかの問題。この映画は今どきの軽妙なBLというよりも、隠し通したゲイの苦々しい人生の物語であるブロークバックマウンテンを思い出させる...

映画『すべてをかけて:民主主義を守る戦い』

映画『すべてをかけて:民主主義を守る戦い』 2018年の米国アラバマ州知事選に立候補したステイシー・エイブラムスの選挙戦を素材に、米国の選挙制度の問題点、さらには投票方法の課題を告発したドキュメンタリー。 建国時には全人口の6%である土地所有者の男性にしか投票権がなかった米国だが、南北戦争を経てすべての国民に等しくこれが与えられることになった。しかし、その後、共和党中心とする政治活動によってこれにさまざま...

映画「Death to 2020」Netflix

映画「Death to 2020」Netflix ひどかった昨年(2020年)の出来事を素材にした、架空のインタビューによるドキュメンタリー風の映画。出てくる人みんなアタマ悪くてヒドイ人ばっかりなんだが、演ってるのはサミュエル・L・ジャクソンやヒュー・グラント、トレーシー・ウルマンとか名優ばかり。ひどい1年を笑い飛ばすのにサイコーな映画。しかし、今年がどうなるのかはまだわからないけどね。

映画「返校」

映画「返校」Netflix 幽霊少女と現実の少女の出会いと別れという、ホラーというよりはゴースト青春ストーリー。大林宣彦の「ふたり」を思い出した。台湾の近代史の暗部に目を背けない姿勢に引き込まれて8話まで見た。それにしても台湾の俳優層が厚いこと。主役のふたりも脇もしっかりとしてる。シーズン2もあるらしく楽しみ。