『Mank/マンク』Netflix

『Mank/マンク』Netflix 1940年代の脚本家ハーマン・マンキウィッツを主人公に、彼が「市民ケーン」の脚本に取り組んだ時期を描いた映画。デビッド・フィンチャー監督だから時間軸が行ったり来たり、感情表現も分かるような分からないような。ハリウッド黄金期の内幕ものでモノクロの画面が豪華。そういえばオールタイム・ベストと言われる「市民ケーン」をまだ見ていないことに気づいた。今度あらためて見てみよう。

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「万物理論」グレッグ・イーガン

「万物理論」グレッグ・イーガン 2055年の近未来。宇宙のすべてを説明するという万物理論が3つの候補に絞り込まれた。 科学ジャーナリストのアンドルーは、そのうちひとつの理論の提唱者であるヴァイオレットを取材するため太平洋上に浮かぶ独立国家「ステートレス」に乗り込むが、そこである科学カルトの暗闘に巻き込まれるというストーリー。 しかし、物語はそれだけにとどまらず、彼は「ステートレス」消滅を目論むバイオ...

映画『希望のかなた』Amazon Prime

映画『希望のかなた』Amazon Prime フィンランド・ヘルシンキへ流れ着いたシリア難民が、官僚的な制度によって強制帰国の危機に陥る。しかし現地市民の手助けによって生活の糧を得てゆく。そして離れ離れだった妹を救うという話。 出てくるのはいい人ばっかり。それがみんな社会制度や国を信用してなくて、信じているのは同じ人間同士であるという痛快で心温まる映画。 それにしてもストリートミュージシャンの音楽が...

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「順列都市」グレッグ イーガン

「順列都市」グレッグ イーガン 小説としてはちっとも良くないのだが、そのセンスオブワンダーは手の届かない高みにいるよう。読んでいて目眩がした。90年代ハードSFの真価を伝える傑作。 人間の肉体と精神がコピーされてサーバー内に存在できるようになった世界。そこまでならよくある設定であるが、この世界ではそのサーバー性能が入札によって変動する。 裕福なものは自前のスーパーコンピュータで現実の世界とリアルタイ...

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「宇宙消失」グレッグ イーガン

「宇宙消失」グレッグ イーガン 「時間軸」という今どきのラノベで消費される単なる「仕掛け」とは違い、量子宇宙論、ナノテクノロジー、大脳生理学を素材にハードSFの素晴らしさを堪能させてくれる傑作SF小説。 ある日冥王星の外側にすっぽり太陽系を覆う構造物ができてしまい、その他の宇宙から隔離されてしまった世界。閉ざされた部屋から壁抜けをしたという記録のある女が誘拐され、主人公のニックは調査員としてその女の捜査を...

映画『君の心に刻んだ名前』Netflix

映画『君の心に刻んだ名前』Netflix 戒厳令が解除された時期の台湾を舞台に高校生のゲイカップルの愛と苦悩の日々、そしてそれからの30年間の人生を描いた映画。 ゲイは今でこそBLというカテゴリーとして消費する素材だが、80年代の息苦しい時代背景ではカミングアウトは生きるか死ぬかの問題。この映画は今どきの軽妙なBLというよりも、隠し通したゲイの苦々しい人生の物語であるブロークバックマウンテンを思い出させる...

映画『すべてをかけて:民主主義を守る戦い』

映画『すべてをかけて:民主主義を守る戦い』 2018年の米国アラバマ州知事選に立候補したステイシー・エイブラムスの選挙戦を素材に、米国の選挙制度の問題点、さらには投票方法の課題を告発したドキュメンタリー。 建国時には全人口の6%である土地所有者の男性にしか投票権がなかった米国だが、南北戦争を経てすべての国民に等しくこれが与えられることになった。しかし、その後、共和党中心とする政治活動によってこれにさまざま...

映画「Death to 2020」Netflix

映画「Death to 2020」Netflix ひどかった昨年(2020年)の出来事を素材にした、架空のインタビューによるドキュメンタリー風の映画。出てくる人みんなアタマ悪くてヒドイ人ばっかりなんだが、演ってるのはサミュエル・L・ジャクソンやヒュー・グラント、トレーシー・ウルマンとか名優ばかり。ひどい1年を笑い飛ばすのにサイコーな映画。しかし、今年がどうなるのかはまだわからないけどね。

映画「返校」

映画「返校」Netflix 幽霊少女と現実の少女の出会いと別れという、ホラーというよりはゴースト青春ストーリー。大林宣彦の「ふたり」を思い出した。台湾の近代史の暗部に目を背けない姿勢に引き込まれて8話まで見た。それにしても台湾の俳優層が厚いこと。主役のふたりも脇もしっかりとしてる。シーズン2もあるらしく楽しみ。

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「民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代」藤野裕子

「民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代」藤野裕子 江戸期以降の民衆による暴力行為をテーマとしたエッセイ。対象の選択が恣意的なので研究論文とは言い難い。なのでエッセイとした。 取り上げるのは江戸期の「世直し一揆」、明治に入ってからの「新政府反対一揆」、同じく「秩父事件」、明治時代後期の「日比谷焼き討ち事件」、それから大正時代終了間際の「関東大震災時の朝鮮人虐殺」。 日本の中世、近代史の民衆による暴力行...

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『パワー』ナオミ・オルダーマン

『パワー』ナオミ・オルダーマン 突然すべての女性の肉体に備わった電撃能力により男女の立場が逆転する世界を描いた小説。 科学の裏付けを顧みない姿勢、架空の歴史資料・遺跡・遺物を提示していることから、これはSFとは言い難い。また、こうした条件によって社会がどうなるのかという分析があるわけではないので社会シミュレーション小説とも言い難い。 しかし、現状の男性社会へのほぼ憎悪とも言える厳しい姿勢は一読に値す...

『メイドの手帖』ステファニー・ランド

『メイドの手帖』ステファニー・ランド 副題にある通り、「最低賃金でトイレを掃除し『書くこと』で自らを救ったシングルマザーの物語(エッセイ)」。 ルシアン・ベルリンの『掃除婦のための手引き書』 は20センチュリー・ウーマンの物語だったが、こちらは21世紀、ゼロ年代以降の米国人女性の過酷な人生が綴られている。 ステファニーは20代で予想外の妊娠、交際中の相手によるDVを経てシングルマザーとして自活を余儀...

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性差(ジェンダー)の日本史@国立歴史民俗博物館

性差(ジェンダー)の日本史@国立歴史民俗博物館 古代、中世、近代の歴史展示からジェンダーを語るという展示会。 鎌倉時代の仏像から往生を願っての紙片や毛髪が大量に発見されたものが興味深かった。紙片にはそれぞれ氏名が書かれており、女性の名前も大量にあったという。法然と遊女の逸話から当時の仏教においては女性は往生できないものとされていたと考えていたのだが、そうではないらしい。 また、近世における髪結いとい...

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『もう一つ上の日本史『日本国紀』読書ノート 古代~近世篇・近代~現代篇』浮世博史

『もう一つ上の日本史『日本国紀』読書ノート 古代~近世篇・近代~現代篇』浮世博史 質のわるいベストセラーにあやかって正しい歴史を伝えようとするところは「間違いだらけの少年H 銃後生活史の研究と手引」と同じやり方。これもあの本が売れれば売れるほどその数パーセントが正しい歴史認識に目覚めるわけで、その受け皿としてこうした本が出るのは悪い話ではない。 著者は現役の歴史教師。それでこの本のベースとするのはもちろん...

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映画『パラサイト 半地下の家族』

映画『パラサイト 半地下の家族』 カンヌでパルムドールだというので見てみた。貧乏家族が金持ち家族を欺いて家庭教師、運転手、家政婦として入り込んだが、その家の地下には先客がいたというストーリー。 劇映画として凝ったつくりで面白いがそれだけ。特に格差社会に問題意識を持っての映画ではない。そうであるならばもっと良い映画はたくさんある。 そもそも階級格差とその衝突は、過去と現在の映画の主要ジャンルである。深...

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『富士日記』武田百合子

『富士日記』武田百合子 もう40年前になるが、私の父は風流な人で毎年8月になると猛暑の東京を逃れて精進湖で過ごすことにしていた。当然、その家族、母、私(小学生)、妹(小学生と幼稚園児)もそこで過ごすことになる。 釣りが好きで何度も訪れていた精進湖で知り合った地元の方から、空いてた古民家を毎年一ヶ月だけ借りたのだ。 精進湖はとにかく涼しいところで夜は布団をかけて寝ていたくらい。当時はテレビが映らず、数...

映画『私はあなたのニグロではない』

映画『私はあなたのニグロではない』 ジェームズ・ボールドウィンの未完のエッセイ「Remember This House」をベースに、本人のインタビュー映像、講演の映像、その他の映像資料による米国社会の白人および黒人をめぐるドキュメンタリー映画。2017年制作。ナレーションはサミュエル・L・ジャクソン。 言葉ではなく映像でもなく音楽でもない。フィクションでもなく、ノンフィクションでなければ伝わらないというこ...

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普通二種免許一発試験で合格まで

きっかけ 現在59歳。4月末に退職。前職は完全外資のIT系。70歳、80歳になってもウェブ開発じゃない、これを機に末永く続けられる職種をと考え、介護の資格と二種免許を取ることにした。2020年、コロナの年のこと。 自動車学校という方法も考えたが、いろいろと調べてこれなら自習+試験(一発試験)でいけるのではないかと判断。ちなみに運転歴は40年ほどで、安全運転には自信がある。 学科試験 5月はコロ...

映画「普通に死ぬ~いのちの自立~」

映画「普通に死ぬ~いのちの自立~」 コロナ下での自主上映会の可能性を知る意味もあり東高円寺のセシオン杉並というホールに見に行った。 「みかんぐみ」という障害者支援のNPOが主催の自主上映会。400人くらいのホールだが、1列おき2席空けての着席で100人定員で実施だった。平日の午前だったがそれくらいは入っていたと思う。 映画は静岡の重度障害者家族が立ち上げたホームの利用者と家族を追ったドキュメ...