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「ケーキの切れない非行少年たち」宮口幸治

「ケーキの切れない非行少年たち」宮口幸治 少年非行について認知機能という面にフォーカスし、考えるきっかけとなる一冊だった。 宮口は少年院勤務の経験のある臨床心理士。その非行少年ケアの提言は、そもそも非行少年(少女)たちは認知能力が低いので、その対策をしない限り更生は期待できないということ。 問題はそのことに気がついていない関係者が多く、紋切り型の対応を継続し、結果として再犯者を生み出すことになってい...

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「チャーズ 下―中国革命戦をくぐり抜けた日本人少女」遠藤誉

「チャーズ 下―中国革命戦をくぐり抜けた日本人少女」遠藤誉 衝撃的な引き上げ体験の記録「チャーズ 出口なき大地」の続編。単行本の「続 失われた時を求めて」に天津編を加えたもの。これも想像に絶する苦悩に満ちた道程の記録。物理的な苦痛のみならず、精神を守るためか感覚を閉ざして過ごした幼少期の精神史として壮絶。 遠藤は今日、祖国で物理学研究者として成功しても、なお記憶に呼び出すことのできないことを抱えたまま今日...

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Speechless – Rupert Holmes

Speechless - Rupert Holmes 相手の女に愛されているのにそう思えないの?それとも勝手に思い込んでるだけ?絶望的に恋してる男の矛盾した心の一曲。あえて散漫で納得しない歌詞の世界が魅力的。 ルパート・ホルムズは名曲がたくさんあるのでもっと評価されてもいいのになあ。 I can make a speech When the mood comes to me Yes, i...

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「チャーズ―出口なき大地」遠藤誉

「チャーズ―出口なき大地」遠藤誉 「魂の脱植民地化とは何か」深尾葉子で取り上げられており、興味をもって読んでみた。引き揚げの体験談や書籍は数多くあれど、これは想像を絶する凝縮された体験。 遠藤の家族は戦前長春に暮らしていた。彼女の父は薬品製造販売(ギフトール)で成功しており、その社会的意義も中国社会から認められていた。それもあって戦後も現地に留まっていたのだが、国民党が支配する地域を八路軍(共産党軍)が包...

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「日本人のための憲法原論」小室直樹

「日本人のための憲法原論」小室直樹 日本国憲法のみならず、民主主義と資本主義の歴史的成立について親しみのある語り口で伝える良書。 そもそも人権という概念は神のもとでの平等という意識から始まり、それにはプロテスタンティズムの普及が必須であった。そこまでは分かるのだが、日本にそれを普及させるために天皇を中心の国にしなければならなかったという理論展開については疑問がある。日本人の平等意識は明治時代になってから急...

映画「台湾、街かどの人形劇」

映画「台湾、街かどの人形劇」 台湾の伝統芸「布袋戯」の名人とその師である父との葛藤、そして消えゆく芸能を受け継ぐ弟子たちを描いたドキュメンタリー。映像はまるで消えゆく芸を記録するかのような固定カメラでの長回し。退屈するかと思いきや緊張感あふれる映像であった。 後日、台湾人とこの映画について話すことがあったが、彼の地での伝統文化への援助のなさは日本の比ではないという。こうして映像として保存されることなく消え...

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「生きるための経済学 〈選択の自由〉からの脱却」安冨歩

「生きるための経済学 〈選択の自由〉からの脱却」安冨歩 安冨をある分野の専門家とすることに意味はない。それで思想家と呼ぶことにしているのだが、本書はその思想家としての安冨の経済学への批判と経済学があるべき方向についての指針である。 彼の近・現代経済学への批判は徹底している。そもそも市場経済理論は「相対性理論の否定」「熱力学第二法則の否定」「因果律の否定」によって成り立っているのだという。 需要と供給...

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「魂の脱植民地化とは何か」深尾葉子

「魂の脱植民地化とは何か」深尾葉子 さいきん集中的に読んでいる安冨歩の参加している叢書「魂の脱植民地化」の最初の一冊。 さまざまな「魂の植民地化」のケースを、ゼミ学生のレポートや「ハウルの動く城」、福島からの自主避難者の声などをケースとして取り上げている。「蓋」と「自己」そして「憑依」がそれを理解するためのキーワードである。 しかし、もっとも興味深いのは深尾本人の人生を取り上げているということ。 ...

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映画「20センチュリー・ウーマン」

監督のマイク・ミルズはミランダ・ジュライの配偶者。だからという訳ではないのだが、何となく「君とボクの虹色の世界」を思い出した。どちらも女性目線の映画である。 劇中の息子が母親を評して言う「不況時代の世代」の女性をアネット・ベニングが演じるが、彼女以外にも10代や20代の女性が登場する。あとは10代の少年と40代の男性が。いずれも1979年という年を生きた人間たちである。 1979年、西海岸の小さな町(サン...

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「合理的な神秘主義―生きるための思想史」安冨歩

「合理的な神秘主義―生きるための思想史」安冨歩 そもそも人は「何が正しいことなのか」を知り得ぬものだとしたら、どうして我々は生きていけるのか。本書は思想家としての安冨がこうした問いの答えを求めて古今東西の知と思想を遍歴したものである。 孔子、仏陀からスピノザ、マルクス、フロイト、ウィーナー、ミルグラムと古今東西の思想家を取り上げているが、彼らはいずれも一貫して「正しく生きるための知識」を求めている者である...

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映画「人生をしまう時間(とき)」

映画「人生をしまう時間(とき)」 以前読んで感銘を受けた「死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者」をベースに、その著者と所属する在宅医療ステーションに密着して、さまざまな死を迎える人々をとらえたドキュメンタリー。 視覚障害のある娘と暮らす末期がん患者の老人。これまた末期がんである50代の娘と介護する高齢の母。近所に暮らす娘がいながら独居で死を迎える女性。 さまざまなエピソードがあるが、どれも高...

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「あなたが生きづらいのは「自己嫌悪」のせいである。 他人に支配されず、自由に生きる技術」安冨歩

「あなたが生きづらいのは「自己嫌悪」のせいである。 他人に支配されず、自由に生きる技術」安冨歩 一見よくある自己啓発本であり、実際に自己啓発が本書の目的でもあるが、人類や社会への洞察の深さから凡百とは一線を画する書である。 安冨が本年の参院選挙運動でマイケル・ジャクソンのヒール・ザ・ワールドをバックに「子どもを守りましょう」と繰り返すのはなぜなのか、本書を読んで納得がいった気がする。 私が最も興味深...

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「誰が星の王子さまを殺したのか――モラル・ハラスメントの罠」安冨歩

「誰が星の王子さまを殺したのか――モラル・ハラスメントの罠」安冨歩 この有名な児童書は、作者(サン・テクジュペリ)本人も意識することなくモラルハラスメントを描いた傑作であるとしている。極めて興味深い解釈である。 「星の王子さま」は複雑な構造であるが、印象的な登場人物やセリフが散りばめられている。ともすれば雰囲気だけで心温まる物語のように感じる人が多い。 しかし本書によると、これはある日、王子さまの星...

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話しているのは誰? 現代美術に潜む文学@国立新美術館

年齢や実績、表現手法に多様な作家6名によるグループ展。キュレーターの意識が顕になるこうした展示会は好み。それぞれに大きなスペース(とおそらく大きな制作費)を与えての贅沢な展示は、見る者の気持ちもリッチにさせる。 最初の部屋は田村友一郎。米国の田舎町のナンバープレートというモチーフから始まり、それが「Oar(オール)」>「All(すべて)」という認識へとつながるインスタレーションと映像の表現構成は見事。映像も最後...

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「創造された「故郷」: ケーニヒスベルクからカリーニングラードへ」ユーリー コスチャショーフ

バルト海に面したロシアの飛び地「カーリニングラード」。その歴史と建国の経緯を描いた研究書。この土地の歴史は13世紀のドイツ騎士団による建国から始まるのだが、ソ連の統治からその過去がタブーになり語られることがなかった。しかし、本書ではロシアにとってこの土地が最も身近な西欧としていかに魅力的であったかが繰り返し語られる。 近年の経緯については、軍政による略奪と破壊から、文民統治時代における過去の書き直し(地名の変更...

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「障害者の傷、介助者の痛み」渡邉琢

「介助者たちは、どう生きていくのか」の渡邉による、津久井やまゆり園事件以降の評論集。前作と同様、障害者介助の現場からの考察は実際的かつ奥深い。 重度障害者の生活といえば自宅監置か施設かという一般の見方に対し、地域での自立こそが当事者にとって最善、との考えは一貫している。その点から相模原障害者殺傷事件については「なぜ障害者はその施設にいたのか」「そこに行くことになった理由は何なのか」という点から問いかけを始めるの...

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「草薙の剣」橋本治

それぞれ関わりのない6家族の祖父、父、子どもを、戦前から現代にかけて同時平行に描いた近現代史的小説。という説明から想像できるようにとても退屈。四分の一くらい読んだところでそれが分かり、後はただひたすら終わらせるためだけに読んだ。あげく勝手に若者に希望をほのめかして終わり。投げ出したくなった。 これらは橋本が思うサンプル家族であって、世の中はもっと多様である。それが分かっているから小説読みは、ある一人の人生につい...

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「介助者たちは、どう生きていくのか―障害者の地域自立生活と介助という営み」渡邉琢

今年の参院選でふたりの重度障害者が国会議員になるという画期的なことがあった。選挙戦からその姿を見ており、また初登院の様子などを映像で見ていたのだが、ふと舩後議員と木村議員に寄り添う介助者について気になった。あるときは手足となり、あるときは声となっている介助者たち。それでこの本を読んでみた。 本書は障害者介護の実際と介護(ホームヘルプ)制度について実務者の立場から手際よく説明しており、現在の障害者介護・福祉を概観...

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「帝国日本」の残影 海外神社跡地写真展@横浜市民ギャラリー

非文字資料研究センターによるこの写真展のことを知り、急遽野毛山まで行ってきた。横浜市民ギャラリー、遠い。桜木町すぐにあったときは便利だったのに。 写真展は帝国日本によって戦前・戦中にアジア各地に建てられた神社の現状を探し出して、その跡地を撮影したもの。 助成事業ではあるものの、執念を感じさせる仕事だ。古い地図で場所を調べ、現在の地図でそれを確認。そして現地に足を運び、現地の人に話を聞いて撮影する。 ...

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「象徴天皇の旅: 平成に築かれた国民との絆」井上亮

本書は30年間にわたって皇室担当記者を勤めた著者による、平成天皇の旅の記録である。その旅は全国で行われる植樹祭を始め、中国、フィリピンなどの外国訪問やパラオ、ペリリューなどかつての戦場も。もちろん被災地訪問、離島訪問など多岐にわたる。 著者はその旅に毎回同行し、その都度感じた天皇と一般とのふれあいのあり方、警護のあり方、皇室報道のあり方などを問題提起している。 問題は多々ありながらも、それにも増して感動的...