『「昭和天皇実録」を読む』原武史

『昭和天皇実録』を読む(原武史)岩波新書 皇太后との確執、新嘗祭などの祭祀への姿勢、最初の欧州旅行でのバチカンへの接近と戦後のカトリックへの改宗の動きなど、こ…

『退屈しのぎ』原節子

「退屈しのぎ」原節子(角川書店) 原節子のエッセイがあるとどこかで聞き、図書館を検索して手に入れた。しかし、手にしてみるとどうも様子が違う。昔のハヤカワ・ミス…

『出家とその弟子』倉田百三

「出家とその弟子」倉田百三 発表当時、これは親鸞の教えではないと浄土真宗からさえ批判があったらしい。しかし、念仏と密教の区別もつかない人の多い現代、この本は他…

『渇きの海』アーサー・C・クラーク

「渇きの海」アーサー・C・クラーク(ハヤカワ文庫) 1961年の作品だからクラークがSFを描き始めて10年目。彼の長い絶頂期の始まりの頃だろう。月面の塵の海を…

『ぼくらは海へ』那須正幹

「ぼくらは海へ」那須正幹(文春文庫) 70年代の小学6年生。進学塾に通っているちょっと勉強ができる系の。塾の行き帰りに通る埋立地で、気まぐれから船をつくること…

『医療の選択』桐野高明

「医療の選択」桐野高明(岩波新書) 各国における医療の現状(第1章)、健康保険制度の現状(第2章)、医療の課題としての高齢化社会(第3章)、産業としての医療(…

『笹まくら』丸谷才一

「笹まくら」丸谷才一(新潮文庫) 1960年台だから終戦から20年も経っている頃のはなし。大学職員の浜田には徴兵忌避者として日本中をさまよっていた過去がある。…

『私のなかの彼女』角田光代

「私のなかの彼女」角田光代(新潮社) 偶然入手できたので久しぶりに読んだ角田光代。しかし、これはダメだった。 私は角田の大ファンと自認するものだが、読んでよか…

『ヤマネコ・ドーム』津島佑子

「ヤマネコ・ドーム」津島佑子(講談社) 木村朗子の評論で取り上げられていたので読んでみた。小説を読む歓びはあったが、作家の社会認識は軽薄なものだった。 こんな…

『旅の時間』吉田健一

「旅の時間」吉田健一(講談社文芸文庫) 豊かな旅の時間についての小説である。絵空事ではあるが、時間を費やして没頭する価値のある絵空事である。 移動中の旅客機、…

『サンダカン八番娼館』山崎朋子

「サンダカン八番娼館」山崎朋子(文春文庫) 「からゆきさん」と呼ばれた、戦前にアジア各国へ渡った売春婦たちについての1975年のドキュメンタリー。かつては誰も…

『驚きの介護民俗学』六車由実

「驚きの介護民俗学」六車由実(医学書院) 民俗学の研究者が介護施設に就職。そこで業務の傍ら利用者に聞き取りをしたところ、そこは民族学的知識の宝庫だったというル…

『昭和史 1926-1945』半藤一利

昭和史 1926-1945 半藤一利(平凡社ライブラリー) 夏の暑い頃になるとこうした本が読みたくなる。 半藤が昭和史の重要ポイントを講義形式で語ったものを聞…

『日本のいちばん長い夏』半藤一利

「日本の一番長い夏」半藤一利(文芸新書) 終戦当時、政権の中枢にいた者、一兵卒としてアジア各地にいた者、そうした戦争の「当事者」たち30人を集めて、終戦18年…

『日本の前衛―1945‐1999』瀬木慎一

「日本の前衛 1945-1999」瀬木慎一(生活の友社) 戦前から戦中、戦後の占領期、それに続く政治の季節、高度成長期まで。日本の近代において大きな潮流となっ…

『藤田嗣治「異邦人」の生涯』近藤史人

『藤田嗣治「異邦人」の生涯』近藤史人 竹橋の近代美術館に行っても、大阪の国立国際美術館にいっても、常設エリアの片隅に一枚でもあると、ほっとため息つきながら上品…