映画『マルホランド・ドライブ』

公開当時に一度観たのだが最近になってAmazonプライムで観られるようになったので再度観てみた。

この映画は難解と言われるがはっきり言って1回観ただけで楽しめる人は存在しないだろう。2回観ないと絶対に分からない映画。しかし、2回見れば結構よく分かる。チケット買って観に行く人にはひどい話だと思うが。

前半がベティの理想・空想で、自分の思い通りにリタ(カミーラ)を操り、自分は新進女優として期待通りの評価を得ている世界である。それで画面には不自然なまでにキラキラ・ワクワク感が溢れているのだが、その人工感が夢を売る映画産業と人工都市ロス・アンジェルスの暗喩となっている。

それと対象的に後半の現実のベティの、その他大勢の女優の卵に過ぎなくて、しかもフラれた女の荒んだ表情が極めて対照的である。ナオミ・ワッツの演技達者には感心した。

その他、ダイナーでのシーンとか業界の黒幕とかデイヴィッド・リンチならではの思わせぶりも豊富だが、これは楽しめればいいくらいで本筋には関係ないと思ったほうがいい。いずれにしてもこれは映画に不条理を楽しむことができる者にとっては最高の映画である。