川内倫子写真展「Illuminance」@FOIL GALLERY
川内倫子写真展「Illuminance」@FOIL GALLERY
陽光に輝くごく普通のサッシの窓枠、パイプに覆われた地下通路、中学生が行き来する階段が輝く時間帯、ビニール袋に詰め込まれた金魚たち、コンクリの床に置かれたクジラの涙。そうした日常にある奇跡のような一瞬を切り取った写真群。
いずれも日常ではあるが、偶然撮れたものではなく、時間と手間を惜しまない活動の成果だと思う。
同様のテーマに基づいて撮影、編集されたビデオも素晴らしい。かなり長いものだがずっと見ていたくなる。
このビデオを見ていて侯孝賢の「悲情城市」がまた見たくなった。侯孝賢は、過酷な現実を舞台にしたストーリーに奇跡のような美しいひとときを挿入することの効果をまざまざと突きつけてくれた作家だった。
川内の映像がこんなにも輝きを放つのは、現在の社会状況をはからずも反映しているからか。