「Arts&Life:生きるための家」展@東京都美術館
建築展にはあまり行かないのだけど、都美術館のリニューアルオープンということで行ってみた。別途やっていた企画展が盛況で大行列だったが、やっぱりここは広い。こちらの企画展ではゆっくりできた。
若手建築家の作品を公募し、最優秀作は実物大モデルを制作させるというもの。
そもそも私は建築のコンセプトモデルというものの存在意味が不明。それに展示空間で建築モデルを見るというのが好きになれない。なのであまり楽しめなかっただが、写真撮影が可能と聞いたので手持ちのiPhoneで楽しむことにした。
クリエーターとかデザイナーというのは、プロダクトによって人間の生活や人生を変えることが出来るという意識が高いのだろう。その中でも建築家は住宅や街づくりという、人間の生活や人生を取り囲むものを作るわけでその意識は特に高いように思う。
しかし、住宅にしても街にしても、ひとたび人が住み始めたら、住む人によってそれはいかようにも変形させられる。そもそも建築はそういうものだ。なのに、建築家の考えるコンセプトや語る言葉は、いつでも施工が終わって引き渡しが完了した時点で停止している。
それから、以前、よく建築家の学生と話したことがあった。彼らは既存の建物を見ると、取り壊して更地にして、新しいものを作りたい、という意識だった。そのことによくがっかりしたものだった。「壊さない建築というのもあるんじゃないの」と話すと「僕らの夢はそれでは実現できないんです」と言っていた。
より便利なものを作って買ってもらう、そのためには既存のものを捨ててもらう。それはいかにも近代化という発想だ。であれば、もうとっくに時代は脱近代化に突入している。それなのに、最もそれに気がついていないのがクリエーターであるというのは皮肉なことだ。