森美術館の展覧会「LOVE展」 2013.4.26(fri)-9.1(sun)
LOVE展:アートにみる愛のかたち―シャガールから草間彌生、初音ミクまで@森美術館
フォーカスがなくてとりとめのない、つまらない展示会だった。
LOVEというテーマを新しい作家のみでとか、近代の作品のみでとかもう一個枠をはめれば選ぶ方も観る方も集中できるのに。
しかたがないので個々の作品をそれぞれ楽しむことにした。
ソフィ・カルの初期の作品「どうか元気で」は、恋人の別れの手紙を人に読ませてどう思うかという、いつもの写真とテキスト。表現者が数学者やタロット占い師などで表現が多様。
アルフレッド・ジャーの被災地の仮設住宅で撮影したもの、それからルワンダ虐殺の地での少年たちのひとこま。ジャーは「私はアーティストではありません、ジャーナリストです」と言っている。
社会の悲惨や不条理を正面から撮影することが報道の唯一の方法ではない。ある側面を切り取ることが事象をより永く深く人々の心に残すことができるということか。その手法の延長線が美術史と交わることが興味深い。
石川真生のオキナワの女たちの写真について読んだことがあったので、実際に見られてよかった。入り込んで撮る写真のむっとくる匂いにむせるようだった。
撮ったあとで発表しないでくれと言われたらしく、長い間陽の目をみなかったものらしい。密着して撮る写真の苦労もはかりしれない。
あと、ジョン&ヨーコの「ベッド・イン」のビデオがあった。40分くらいの作品だが全部見てしまった。ふたりがどうやって時代の常識に対抗していたのかがわかる。彼らには活動と歌があったのだな。
現代の活動には歌がないとは反原発活動などをみていてよく思う。また、ミュージシャンが活動に関わることがなくなったことも。それはどちらにとっても不幸。
テーマに惹かれて若いカップルがたくさん訪れていた。そうした世代に現代アートを触れさせるよい機会になっていると評する方もいるだろうが、私は反対。知的な雰囲気のなか作品が目の前を流れていくだけで、決してよい手法ではないと思う。