非文字資料研究センターによるこの写真展のことを知り、急遽野毛山まで行ってきた。横浜市民ギャラリー、遠い。桜木町すぐにあったときは便利だったのに。
写真展は帝国日本によって戦前・戦中にアジア各地に建てられた神社の現状を探し出して、その跡地を撮影したもの。
助成事業ではあるものの、執念を感じさせる仕事だ。古い地図で場所を調べ、現在の地図でそれを確認。そして現地に足を運び、現地の人に話を聞いて撮影する。
その足取りは、韓国、北朝鮮、台湾、中国、南陽諸島と多岐にわたる。あるものは市民公園なっており跡形もない。あるものはかろうじて神社の礎石が認められる。また、ジャングルの奥、原生林に埋もれてひっそりとまだ建っている鳥居もある。
こうした行為がどういう意味を持つのか分からない。そして調査・研究とはそうあるべきものであろう。
しかし、歴史に埋もれるということが「実際に」どういうことなのか。それが可視化されるという意味はある。資料読みが図上でピンを打つだけではないインパクトが間違いなくある。
以前、下道基行の「無題(鳥居)」という作品を「アトミック・サンシャインの中へ」で見た。これもアジア各地の都市をめぐり、神社の鳥居が現在どうなっているのかを撮影したものだった。これはあくまでも作品であったといま思い返している。