十和田市現代美術館
翌日は青森駅からJRで三沢、三沢からローカル鉄道で十和田市、さらにタクシーで十和田市現代美術館へ。
これは4月にオープンしたばかりの話題のミュージアム。青森県美とちがって、バリバリの現代アートスポット。
西沢立衛設計の建物がまた面白い。
十和田市の市役所通りの一角に、子どもが箱をぽんぽんと並べたかのようなつくり。それら大小の箱を透明なチューブがつないでいる。
歩道との距離が近くて、通り過ぎる人が展示室の中をちらっと見ることができる。また、透明なチューブを行き来する人々も展示の一部のように見える。
東京の若手ギャラリストがついているらしく、展示作品は東京であっても、世界のどこの都市であってもOKなものが手堅く並べられている。別の言い方をすると、十和田市でなくてはというものがない。
気に入った作品について。
「闇というもの」は、あんなに低い視点から夜の森を見たことなかったことに気づかせてくれた。「森の匂いまでしますね」と言ったら「いえ、塗装の匂いが消えないんです」といわれた、トホホ。
「メモリー・イン・ザ・ミラー」は、プロジェクターの前を通ると自分の影が映ることで作品に参加するという面白みがあった。
「無題」なので勝手に「山羊の部屋」と名づけたインスタレーションは、ハイテクでポエティック、無機質だけど生臭いという感覚を楽しめた。西欧人の対置の感性にあらためて感じ入った。日本人だとなじませる、というか自然になじんだものになるのだけど。
いちばん良かったのが「ロケーション」。暗い部屋にダイナーのボックスシート。窓の向こうには深夜の高速道路が遠くまで。空間が心地よいんだけど、変化の落差が笑っちゃうんですよ。さっきまでごく普通の展示室にいたのに。また出るときも。
企画展はオノ・ヨーコでした。私はこの方いまいち好みでない。
メッセージ比率が高すぎて作品として楽しめない。参加型アートと称して地球儀に好きに絵や文字を描いてください、というのはいいけど、数ヶ月たったらやっぱりただのグレーな球体になってます。作品はどっかでモノとしての美しさを保持すべきでは、と思いました。
それにしても、盛り上がっているのは美術館の一角だけ。食事でもと思って商店街を歩いても開いてる店がない。タクシーの運転手さんと話しをしたら、美術館よりも福祉充実という声はあったそうだ。
そもそも駅からのアクセスが悪い。新幹線の停まる八戸から定期バスでも出すのか。
それか、旅行会社に営業してツアーバスが次々に来るようでないと。それで、地元のおすし屋さんで昼食をということになれば地元も潤うのに。
どこのミュージアムも地域とのつながりが欠かせないと思います。地域の人が運営に参加したりして盛り上がって、「おらが町のミュージアム」という盛り上げがこれから必要でしょう。
これからそれをどうするのか、見て行きたいと思います。
いろいろと気になるところはありましたが、いいものを沢山見ることができて大満足。
今度は雪の降る頃、青森にまた行きたいです。