プライマリー・フィールド2 絵画の現在―七つの〈場〉との対話 Primary Field 2:神奈川県立近代美術館<葉山館>
プライマリー・フィールドⅡ 絵画の現在―七つの<場>との対話@神奈川県立近代美術館 葉山
最近活躍している絵画の作家を集めたというストレートな展示会。
葉山の広い展示室に素晴らしい作品たちがのびのびと展示されていて、観る快感、空間に浸る快楽でした。
高橋信行は茫洋とした画面で、タイトルを見ればそのように見えるという画風。「みどりの中の大仏さま」など、そういえばという感じ。いずれの作品も家族旅行の思い出をたぐり寄せているよう。
以前から注目の小西真奈は大作が13点もあって堪能した。
静かな入り江に足を浸す女性という「浄土」と「浄土2」は時間が止まったような感覚で一度見たら忘れられない。険しい山なのにやけに軽装の男女数人が歩いている「無題」と、そのたどり着いた先の凍える湖が描かれる「Dark Lake」、「キンカザン」。雨降るビーチにわざわざ傘さしてたむろする男女を描いた「Snow Patch」。
描かれる大自然も素晴らしいが、そうして点景として小さく描かれる人物群の微妙な距離感が不思議で魅力的。ひとつの絵画からいくつものドラマができそう。
保坂毅は遠近法をもてあそぶような半立体作品。
美輪美津子は座り心地のよさそうなソファなのに「床下の死体」、峨々たる雪山の映像なのに「Wurthering Heights」(嵐が丘)と思わせぶりなタイトルにセンスの良さを感じました。
東山毅は巨大キャンバスに果てしない暗黒を描き、わずかな救いのような淡い光を配置した。とてつもなく巨大なのに継ぎ目がない一枚もの。
伊藤存は海の見える小窓のある部屋にあって、刺繍作品の軽やかさと海のきらめきがよくマッチしている。
児玉靖枝は変わらず木々の葉のざわめきを極めている。「深韻」が左から三、四、二と並んでいるのはどうしてか気になったが、たしかにこの方が落ち着きがいい。
とにかく絵を観るということが楽しめる展示会。キャンバスの配置も中央揃え、やや目線より下、見上げ気味など、心得た展示。
やっぱり葉山と竹橋は私にとって安心のブランドだ。