東北画は可能か?@ニュートロン東京
昨年の春に神楽坂のギャラリーで見たときは震災の直後で、若い作家たちの悩む声を多く聞いたが、今回は彼らの作品群をじっくりと鑑賞することができた。
「東北画は可能か」という問いかけは「では日本画とは何か」という反語質問になっていると以前聞いた。そのままに若い作家たちが現代の日本のアートのありようを探求している姿が感じ取れた。
金子拓の民話的な作品群は確かに東北らしくはあるが、新しい東北のストーリーも感じさせる。土井沙織の鳥と魚のモチーフも象徴的で新しい民話の可能性を予感させる。
多田さやかの世紀末的群像の力技も見応えがあった。数多くのモチーフを散りばめて巨大な画面を緩むことなく構成するのは簡単ではないだろう。彼女が1986年生まれと聞いて驚いた。
ギャラリストの方によると今回の展示では作品の販売を意識させることにしたらしい。それはアート活動は制作だけでなくマーケットを意識することも必要であるとの配慮。私もそれは必要なことだと思う。
「東北画…」の活動が岡本太郎現代芸術賞を受賞し、チームの合作「方舟」が川崎市岡本太郎美術館にて展示される。彼らのブログを見ると「方舟」は各地を巡回し、ライブイベントの背景になったりもしているらしい。彼らの充実した活動をうらやましく思う東京の美大生もいるのではないか。