インド発のポストアポカリプス&ディストピア小説。
文明崩壊後に残った都市国家。ここでは全ての人間が生まれやビジネス上の貢献、SNSでの評価などによってスコア化されている。人々はそれによって上級市民と中級市民、そしてそれ以外の10%の下層民に分類されるという世界である。上級市民と中間市民は整った環境に暮らすことができるが下層民は都市外のスラムに暮らしている。
小説はそれぞれが独立した登場人物によってそれぞれのエピソードが語られるというオムニバス形式である。主要登場人物が活動し、成長するという物語ならストーリーが大きなうねりとなって行くのだが、この形式では現象や状況をかいつまんで表現することしかできない。どうしてこの形式を選んだのか疑問がある。
しかし、読んでいて面白かったのは、もっとも過酷な立場であるはずの最下層民の生活が意外と楽しそうだったこと。いつ下の階層に落ちるのかと常に怯えて生きる上級・中間市民の方が哀れに思える。
不可触民のことなどインドの階層社会のことを分かっていればこの小説のこともっと楽しめたのかもしれない。