横浜トリエンナーレ 2008
横浜トリエンナーレの看視ボランティア
新しい美術館に行くのって期待感があって楽しいけど、同じところに何回も行く、しかも長時間いるというのもなかなかない経験です。横浜トリエンナーレのボランティア今週で5回目です。
オープンの前日(12日)がプレス向け内覧会で、この日が私のボランティア初日。
場所は横浜赤レンガ倉庫1号館でした。ここでは主にパフォーマンスとビデオ作品の展示。私は2階のビデオの部屋の担当でした。チェルフィッチュという劇団のビデオのそばに半日いたのですっかり覚えてしまいました。
ちょっと説明すると、ステージはファミレのテーブルと椅子がステージの床に埋もれているところ。そしてドリンクのフリータイムに出入りする客やウェイトレスの心の声を一方的にモノローグするというお芝居。
でも、芝居なのに掛け合いがない。セリフも「○○じゃないですか、だもんで、えと、それはいいんですけどー」みたいな自然体。なんかとても惹かれた。絶対本物見に行く気になった。
翌日(13日)は新港ピアで、主にファルケ・ピサノという人のテキスタイルの部屋だった。
これは小さな部屋なんだけど色とりどりの布がかかっていて、自由にくぐったり通り抜けたりすることができる。
その中に小さなブックレットが置いてあって触ったりする人が多いんだけど、フロアマネージャーに言わせるとダメとのこと。なので「お客さま」と声をかけるのが面白かった。
現代アートでは日本人より西欧人種の方がさわりたがりだということが分かった。
3日目(14日)は日本郵船海岸通り倉庫(BankArt)。ここはちょっとえぐい作品が多い。
いくつかの部屋を巡回したんだけどダン・フォーという人の作品がいちばん面白かった(監視員としてという意味)。
というのもこの作品、大きな白い部屋の隅に馬の鞍がぽつんとおいてあるだけ。私自身なんじゃこりゃ、というものなんだけどお客さんの滞在時間が平均15秒。
現代アートってどんな人がどうやって見るんだろと思ってたけど、わからない作品はやっぱりさっと通り過ぎるのが普通みたい。こんなこと同じ部屋に長時間いないとわからないものね。
それからはこの監視員という仕事の楽しみはお客さんウォッチにありと決めました。
あと、多分あるだろうなと思ってたけど、やっぱり会社の人に会っちゃいました。トホホ。
それはそれとして、この日よかったのは勅使河原三郎。
それは奥に細長い部屋で床一面にガラスの破片が敷き詰められている。壁にもとがったガラスが埋め込まれている。
この危険きわまりない部屋での勅使河原三郎のパフォーマンスはまさに緊張感溢れるもの。
その床にがたーんと半そでの腕で倒れる。ちょっとバランス崩したら壁のガラスで流血するのではと気が気ではない。
それに細長い部屋だもんでお客さんが座れるのはせいぜい20人。まさに単なるダンス公演ではない。現代アートにおけるパフォーマンスでした。
翌週の日曜日(21日)はまた日本郵船海岸通り倉庫。今度は3階で中西夏之の部屋。
巨大なキャンバスの抽象画が何枚もあり、その隙間に粒子と鉄球のインスタレーション。この部屋に午後から日が暮れるまでいたんです。なんか贅沢させていただいたような感じがしました。