映画『島にて』
自粛期間が明けて今日から映画館の再開。早速ポレポレ東中野で見てきた。会場は2席離して利用可なので経営的には辛いだろうなと思ったが、久しぶりの劇場で良質なドキュメンタリーを堪能。
舞台の飛島は、山形県酒田市から高速フェリーで75分の離島。産業は漁業中心で人口は140人ほど。一時期1,200人を超えていたのですっかり寂しくなった。小中学校は建物は立派だが生徒は中3がひとり。彼が卒業すると学校は休校。校長、教頭、教諭、養護の先生たちは街に戻るのだろう。
高齢者が多いのはもちろんだが、出戻りの若者がイベント会社などを興して頑張っている姿もある。
どこの過疎地域にもある高齢化と町おこしのストーリー。同じようなドキュメンタリー映画、反原発の島とかアートの村とかのはたくさん見た。
この映画の監督は「ただいま それぞれの居場所」や「9月11日」で介護バカを自称する若者を描いた大宮浩一。それから「桜の樹の下」で妖精めいた団地の独居老人を描いた田中圭。
高齢者の暮らしを取り巻く暮らしが綿密に描かれていた。おばあちゃんとかおじいちゃんの聞き取りにくい方言もまた別世界めいている。
映画にはこれからこの島がどうなるとか暗示すらないのだけど、それがきっぱりとしていい。
所詮映画作りはある期間いて、そして去っていくもの。それを肯定も否定もしていない。それが私にはかえって心地よかった。