『ローリング・サンダー・レヴュー マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説』@Netflix

『ローリング・サンダー・レヴュー マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説』@Netflix

ボブ・ディランが1975年から76年にかけて行ったツアーのドキュメンタリー映画。マーティン・スコセッシが監督。演奏も撮影も構成も素晴らしくて何度も見てしまった。

ツアーバスに乗り込んで街から街へと移動し(ディランが運転している!)、プロモーションと言えば会場近くでチラシ配りくらい。ホテルや楽屋、移動中のバスで即興演奏とまさに70年代ロックツアーの祝祭。旅と音楽と仲間たち。

アレン・ギンズバーグもツアーに同行しており何度かポエトリー・リーディングを披露している。また、パティ・スミスのリーディングとヴォーカルによるステージの映像があり、70年代のニューヨークのアンダーグラウンドシーンを彷彿とさせる。

このツアーでは目的地の街にいたミュージシャンを即席で演奏させることが多かった。そのうちのひとりジョニ・ミッチェルの「Coyote」をディランを含むギター何本かでリハーサルするシーンがある。感動した。これがミュージシャンのバイブというものか。

当時は「血の轍」「欲望」とディランの名作アルバムがリリースされており、ライブではこれらから多くの曲が演奏されている。「One more cup of coffee」「The Lonesome Death of Hattie Carroll」「Simple Twist of Fate」「Knockin’ on Heaven’s Door」「Hurricane」。どの曲の演奏も歌も素晴らしい。

特にスカーレット・リヴェラのバイオリンで歌う「ハリケーン」で「自分も白人だってことを忘れるなよ」の歌詞のところでディランが「こんな腐った正義があるか」と白目を見せるカットが最高だった。

ところでこの映画には多くの仕掛けがあるらしく、私は「この映像を撮影したとのは私だ」と言うステファン・ヴァン・ドープという者があやしいと思っているのだがどうだろう。また、シャロン・ストーンのエピソードも仕掛けではないだろうか。

ディランの映画はどれも虚実入り交じっているところが面白いのだ。「アイム・ノット・ゼア」もかなり凝った作りだったがそれを本人も楽しんでいるのではないか。本作はマーティン・スコセッシ監督だからもちろんかなりの遊びが入っているのだろう。

追記:と思ったらこんな記事を見つけた。「スコセッシ製作『ローリング・サンダー・レヴュー』を事実検証